2006年10月03日

道を往く

読んでいた本を昨日読み終えました。
かなり心に残ったので記事に残しておきます。

読んだ本は『香乱記』(宮城谷昌光著)です。
 
舞台は古代中国。
中国の春秋戦国時代が,秦の中国統一という形で終わり,始皇帝を頂点とする厳然たる法治主義の実践が行われていました。その手法は情状酌量の省かれた余りに血も涙も無いものであったため,統治に疑問を感じた民・奴隷は,各地で反乱を引き起こします。その多くは鎮圧されてしまいましたが,高名な陳勝・呉広の起こした乱は時宜を得,勢いを増して全土にその機運を運び込みます。

そのような状況の下で話が進んでいきます。

主人公は田横(でんおう)という一地方の豪族。2人の兄弟と力をあわせて,斉の国を建て,秦や,項羽率いる楚,劉邦率いる漢に抗います。田横のもとにあつまった有能な家臣たちと力をあわせてよく斉の国を保持していましたが,漢の韓信に欺かれたのを機に多くの家臣を喪ってしまいます。最終的には,楚を降し天下を統一した劉邦に招かれた田横は洛陽へ進む道の途中で自刃します。

宮城谷昌光の本は昔から好きで,文庫化されている本は長編を中心に9割方読んでしまいました。その中でも『香乱記』はずば抜けた面白さを持った作品。

宮城谷昌光は登場人物をとても魅力的に書くんです。主人公の高潔さはあふれんばかりですし,それを支える男女の生き方も見事に描く。それはどの作品も共通していますが,今回も健在。特に占い師から「7つの星(=臣)を集めよ」といわれ,股肱の臣を見つけ出していくという話の流れは,大好きな水滸伝の話にも通じるものがあって,読んでいてとてもワクワクさせられます。

田横は剣術にも政治にも知略にも通じた英傑ですが,それだけじゃなくて人を愛する気持ちが強い。家臣を愛し,民を愛し,女を愛する。自らの生き方に筋を通している。自らの進むべき道を見定め進み,目標達成のためとあれば死をも厭わない。小説ということを抜きにしても,あれほどすばらしい生き方はそうできないでしょう。
保身を考え,何か試練の場面に立った場合には他人を振り返る余裕を失い,人を愛する気持ちに欠ける僕には,この小説は示唆に富む内容満載でした! 
結末もホロっとさせられるシーンで締めくくられていて後味も抜群。

余り本を読まない僕が,『香乱記』というすばらしい本にめぐり合えたことはとても幸運なことに思いました。

posted by はくりょ at 13:10| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 趣味 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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